HOME > 100を切るために必要な基本技術 > ゴロフは初心者に最適!
日本ゴルフ界のレジェンド=青木功プロは「ゴルフはゴロフ」という名言を残したことで有名です。「ゴロフ」とはボールが地面を転がる「ゴロ」を文字った駄洒落ですが、転がすことを第一に考えなさいという戦略論は正しい考え方です。
初心者は皆アプローチが苦手ですが、勘のいい人はサンドウェッジなどを持たず、とにかくグリーン周りはパターで転がそうとします。あれは実は物理的に最適な理論で、パターで転がす事が最も酷いミスが起こりにくいです。
その理由は、ロフトとボールに与える力関係にあります。ロフトが付いたクラブでボールを打つと、ヘッドが当たるエネルギーは、前進する力と上に浮く力に分散されます。一方でロフトがほぼ無いパターだと、エネルギーは全部前に進む事に費やされます。単純に考えると、サンドウェッジのように60度近いロフトがあるクラブだと、半分以上のエネルギーが上に向かうので、同じ距離を飛ばすにはパターの約二倍の振り幅が必要です。従って、ボールの赤道を打つ「トップ」のミスをすると、想定の2倍の距離が飛んでしまい、大オーバーになる訳です。
ところがパターの場合、ボールの少々上を打っても、転がる距離はほぼ同じです。しかもパターはアップライトに手首を伸ばして振るので、ダフリになる可能性もほぼ無いです。ミスを恐れる初心者が、直感的にパターでアプローチする行為は、実は理に適っているのです。
当サイト管理人は、グリーン周りのアプローチは「転がし(ランニングアプローチ)」と「ロブショット」の二つあれば十分だという考えです。キャリーとランが半々ぐらいの「ピッチエンドラン」は、距離感を合わせるのが難しい上、トップもダフリも起こりえるのでリスクが高いので、ほとんど使いません。むしろランがほぼ無いロブショットの方が、トップだけ気を付けていれば距離感を合わせやすいです。
ですから初心者の人は、バンカー越えでも無い限り、グリーン周りはパターで寄せる「ゴロフ」に徹するべきです。少々ラフでも、パターだとそれなりにカップに寄せていけますが、ウェッジを使うとダフリ(ザックリ)やトップなどの酷いミスが起きるので、初心者は一旦封印した方が、スコアアップは早まるでしょう。
初心者の人には、パターに似た形状である程度ロフトが付いている「チッパー」を使うのも一つの方法です。チッパーはアップライトでソールが分厚いのでザックリになりにくいですし、ロフトがあってキャリーもある程度出るので、ラフからでも距離感を合わせやすいです。
上級者の中には「チッパーなんて下手くその象徴だ」と馬鹿にする人が居ますが、そういう老害ゴルファーは黙殺しましょう。ゴルフはルールに適合していれば、どんなクラブを使おうがプレーヤーの自由です。チッパーを使おうが、プロゴルファー猿や大井とんぼのように一本のクラブで回ろうが、良いスコアが出せるならそれが最適です。
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それにアプローチが慣れてくれば、自然とチッパーを「卒業」したくなるものです。当サイト管理人の友人も、アプローチが苦手で最初はロフトの異なるチッパーを二本も入れてプレーしていましたが、100を切ってからは「やはり普通のウェッジを使えるようになりたい」と心変わりしました。そのチッパーは今、初心者である別の友人に受け継がれています。
また「ゴルフはゴロフ」というのは、グリーン周りの短いアプローチに限った話ではありません。50ヤードだろうが100ヤードだろうが、手前に花道が開けているなら、普通にウェッジで球を上げるのではなく、転がしで狙っていっても構わない訳です。
ゴルフ場では、ボールは様々なライに止まるので、常にフルショットするクラブ選択を行うのは、賢いコースマネジメントとは言えません。例えばラフで浮いていたり、左足上がりだったりすると、ダルマ落としのようにウェッジが球の下を潜り、真上に上がって大きくショートする事も増えます。逆にディボットに入ってしまうと、クリーンに振り抜く事は難しく、フルショットで距離感を合わせるのは困難です。
そんな時には1〜2クラブ大きめの番手を持ち、コンパクトな振り幅で上から打ち込むようなパンチショットを行えば、上下の打点のズレは起こりにくく、低めの弾道でグリーンを狙っていける訳です。
こういう攻め方はプロでも行う事は珍しくないです。特に全英オープンが行われるリンクスコースでは、風が強いので、プロでも「ゴロフ」を駆使して攻めるのが定石です。グリーン外からもパターで転がしますし、球の上がりにくいロングアイアンで低く転がして距離を稼ぐショットも多用されます。タイガーウッズは、全英オープンでドライバーを一切使わずに回って優勝したこともあるので、決して邪道なコースマネジメントではないのです。
アマチュアゴルファーの人も、打ちっ放しで常にフルショットしているのは賢い練習ではありません。100ヤードのグリーンをピッチングウェッジや9番でフルショットするのではなく、7番や8番アイアンをパンチショットして、手前でワンクッション〜2バウンドさせて乗せるようなゴロフの練習するのが実践的です。この打ち方だと難しいライでもミスしにくいですし、風の強い日でも影響を最小限に抑えられるので、スコアアップに役立ちます。
ゴロフは初心者のスコアアップに最適!まとめ
・ゴロフ=転がして寄せる方が、物理的に酷いミスが起きにくい
・状況によってはプロゴルファーもゴロフに徹する
・初心者はフルショットだけでなく、パンチショットで乗せる練習もすべき
アマチュアの人はとかく、ゴルフ中継で見られるような美しい弾道でピンを攻める事に拘りますが、番手毎にフルショットするだけがコースマネジメントではありません。プロゴルファーでも「ゴロフ」するのですから、下手な人ほど転がしてミスを避けるプレーを覚えるべきです。