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ゴルフのトレーニングで、車のタイヤとかサンドバッグのように、重たくて動かない物を叩く練習を見た事があるかと思います。20世紀前半に、全英オープン3勝の名手=ヘンリー・コットンは古タイヤを叩く練習を繰り返したことで有名でした。近年でも、賞金女王=イ・ボミがサンドバッグを叩く練習を毎日繰り返していたと言います。実はこの練習、初心者ゴルファーほど上達に有効です。
★画像出典;週刊ゴルフダイジェスト(2015.7/21号)
サンドバッグを叩くことの意味は「インパクトで球を強く押せる形」を覚えることです。上記イ・ボミの写真を見れば分かるように、ゴルフのインパクトの理想型は・・・
・ハンドファースト(グリップが左ももの前)
・右手首はまだ伸び切っておらず、手の甲側に曲がっている
・右肘も伸び切る直前
・左肩が左後方へ引けて、腰よりも肩が多く回っている
・左膝が伸びて「左の壁」が出来ている
という形です。アマチュアゴルファー、特に初心者はこのインパクトの形が分かっていないので、飛距離が出ないのです。サンドバッグを叩く練習は、素振りや実際にボールを打つ際には(あっという間に通り過ぎて)理解し辛い、インパクトの身体の姿勢を覚えるのに最適です。
特に重要なのが、右手の使い方です。右肘や右手首が伸びていては、ボールを強く押せません。理想のインパクトは、右手首や右肘の「タメ」が解放される途中の、若干曲がっている形となります。プロゴルファーの連続写真を見れば、誰もがインパクトでは右手首が甲側に少し折れた状態です。下記は宮里美香選手のスイングですが、ボールに当たった直後でも右肘や右手首がまだ伸び切っていないことが分かります。
この形は、ゴルフだけに限りません。野球のバッターが打つ時も、テニスのフォアハンドショットも、インパクトの瞬間は右肘と右手首が若干曲がっています。これが人体の構造上、最も力が入る姿勢であり、関節が伸びきっていると強くボールを押せないのです。
このサンドバッグを叩く練習は、アマチュアゴルファーの場合は何もフルスイングして力一杯叩く必要はありません。全力で叩けば、むしろ手首を痛める危険性があるので、注意が必要です。
特に初心者の人は、クラブを振らずに、インパクトの形から「サンドバッグを押しこむ」練習をする方が有効です。上記のイ・ボミを参考にインパクトの形を作り、そこからグッとクラブで押します。たったこれだけです。要は太極拳のように「インパクトの型」を繰り返す事で、強く押し込める姿勢を身体に覚え込ませるのです。
プロの連続写真を見れば一目瞭然ですが、実はアドレスとインパクトの形は同じではなく、全く別物です。アマチュアには理解していない人も多いですが、これは日本のゴルフレッスンの弊害でもあります(「アドレスを再現しろ」と教えるレッスンが少なくない)。
インパクトでは、アドレス時よりグリップは先行して左もも前ですし、左肩は大きく回転して左後方に釣り上がっています。「肩を開くな」なんて馬鹿なレッスンもありますが、実際にプロゴルファーのインパクトを調べると、アドレス時より平均30度ほど開いています。というか肩を回さなければ、ヘッドが走らないので絶対に飛びませんから・・・。
もう一つ注意点を挙げると、腕で押す(叩く)のではなく、身体の回転で押し込むことです。インパクトの姿勢から左肩を回し、右足を内側へ踏み込んでいく事で、身体全体でサンドバッグを押すのです。
サンドバッグを叩く練習の意味と有効性まとめ
・サンドバッグを叩く練習は、イ・ボミなどトップ選手も行っている
・ボールを強く押せる形を覚えるのに有効
・インパクトでは右手や右肘は少し曲がっているのが正解
ということで、タイヤやサンドバッグを叩く(押し込む)練習は、正しいインパクトの形を身体で覚える意味で、初心者にはとても有効です。クラブを振るのではなく、インパクトの姿勢からグッと押すだけの練習なので、狭い室内でも行えるのもメリットです。また押すだけならサンドバッグである必要はなく、クッションや枕など体積と重さがある柔らかめの物体なら何でも良い訳です。