ゴルフのアイアンセットには大きく分けて、初心者向け、上級者向け、ぶっ飛び系(飛距離重視)という3タイプに分類できます。それぞれのタイプによって、同じ7番アイアンでもロフトの角度や重さなど、かなり差があります。
基準となる7番アイアンで、タイプ別の平均的なスペックを比較したのが以下の表です。
7番アイアンのタイプ別スペック比較 | |||
初心者向け | マッスルバック (上級者向け) |
超ストロングロフト (ぶっ飛び系) |
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ロフト角平均 | 30度 | 35度 | 26〜7度 |
シャフト長さ | 37インチ | 37インチ | 37.5〜38.5インチ |
重さ平均 シャフト材質 |
370〜80g カーボン |
420〜440g スチール |
350グラム前後 カーボン |
2010年代に入り、初心者向けの7番アイアンだとロフト角は30度が平均になっています。一昔前だと「ストロングロフト」と言われるような角度ですが、近年では初心者向けアイアンは、ヘッドが大型化&低重心化したことにより、7番で30度程度が標準的になりました。アイアンを選ぶ時は、7番で30度より小さければストロングロフト、大きければロフトが寝たタイプだと判別すると良いでしょう。
対して、男子プロや上級者が使う「マッスルバック」と呼ばれるタイプのアイアンだと、7番のロフト角は34〜5度くらいが平均で、初心者のものと比較して1〜1.5クラブ分ほどロフトが寝ている事になります。プロはハンドファーストでダウンブローで打ち込む分、インパクト時にはロフトが表示よりも立った状態になるので、この位の角度差があるのです。
また初心者向けのアイアンの多くがカーボンシャフトを採用しており、上級者向けタイプよりも重さが軽く作られています。初心者向けの7番アイアンだと、370グラム台が標準的です。上級者向けのスチール製(430グラム前後)に比べて、約15%ほど軽い計算です。初心者向けのシリーズでも、スチールシャフトを選べるアイアンも売られていますが、はっきり言って止めといた方が良いです。
スチールシャフトの方が、単純に重たいせいでヘッドスピードが出にくい事も理由ですが、他にもしなりやトルク(シャフトのねじれ)が小さい事も挙げられます。トルクが小さいとスイングが安定した上級者なら打ちやすいのですが、ごまかしが効かないので初心者には難しいのです。
※ゴルフクラブのトルクは、車のハンドルの「遊び」によく例えられます。遊びが少ないスポーツカーだと、ハンドル操作が難しくなるけれど、使いこなせればコーナーでも早く走れるようになる、という理屈と似ているからです。
この2つ以外にも、「ぶっ飛び系」と呼ばれる特殊なタイプのアイアンもあります。プロギアのeggシリーズやマジェスティのロイヤルブラックシリーズに代表される、超ストロングロフトのアイアンです。
(超ストロングロフトの典型である、プロギア・SUPER egg)
ぶっ飛び系のアイアンは、コンセプト通りとにかく飛距離が出ることを追求しています。そのため普通のアイアンと比較して、ロフトは3〜4度立っており、シャフトの長さも1インチ(2.5cm)程度長く、重さは軽く作られているのが平均です。故にしっかり芯で捉えれば、明らかに他のアイアンよりも飛距離は出ます。7番アイアンでも、通常の初心者向けアイアンの6番アイアン以上、下手すると5番と同じくらい飛びます。
但し、7番アイアンで26〜7度のロフトで、しかもシャフトも長い訳ですから、はっきり言って6番アイアンに「7」と刻印しているも同然です。ロフトの角度が立つほどサイドスピンも掛かりやすいですし、シャフトが長いほどミート率が下がりやすい問題も生じます。つまりぶっ飛び系アイアンは、確かに飛距離は出るけれど、精度を保つのが難しくなる訳です。
このデメリットを軽減するため、例えばプロギアのeggは、かまぼこ型ユーティリティーのようなヘッド形状にして低重心&深重心化を実現し、芯が広く・球が上がりやすくしています。但しそれでも、通常の7番アイアンと比較すれば、明らかにミート率は落ちやすいです。形状が普通のアイアンのままで、ロフトを立てただけのぶっ飛びアイアンだと、尚更難しいです。
当サイト管理人は、アイアンは精度を最優先すべきだと考えているので、ぶっ飛び系アイアンは使っていません。しかし、どうしても他人よりも飛ばしたい〜ショートホールで人より小さい番手でワンオンさせたいとか、スコアよりも飛距離を追求したい、という人のニーズにはぴったり合うクラブと言えます。