ゴルフ72のコツ
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クラブヘッドの素材(チタン、マレージング等)と飛距離の関係

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古来、ゴルフクラブの素材は「木製(ウッド)」と「鉄製(アイアン)」の二種類だけでした。しかし1990年代にスチールヘッドのドライバーが普及し始めてからは、ゴルフクラブの素材は多様化していきました。現在のクラブヘッド素材は、チタンやステンレス、はたまたマレージング綱やハイストレングススチールなどと、実に様々な金属・合金が使用されています。ヘッドとフェースが別々の素材で作られている場合もあります。

では素材による飛距離性能の差はあるのでしょうか? 初心者の人は「フェースの金属の反発力が高ければ良く飛ぶのでは?」と思うかも知れませんが、実際には2重の意味で違います。

まずクラブの反発力の大きさは、大半が「フェースの厚み」で決まります。実はウッドや厚みのあるアイアンなどは、ヘッドの中は空洞になっています。そして打面であるフェース部の厚みが薄いほど、インパクトの瞬間に大きくたわんで、ボールが強く弾かれます。丁度テニスのラケット(ガット)などと同じで、当たった瞬間に大きくたわむと、バネのように弾きが良くなって飛ぶわけです。金属の固さよりも、たわみが大きくなる事の方が、遙かに重要なのです。

それでも「金属による反発力の違いもあるのでは?」という疑問が沸くでしょう。しかし、チタンとマレージング綱のどちらが弾きが良いか?など、金属ごとの硬度を比較をしても無意味です。その理由は、現在売られているクラブは反発力が規制されているからです。技術的にはもっと弾きが良く、飛距離が出るクラブフェースは製造できるのですが、それだとルール違反となるのであえて反発力を低く抑えて作られているのです。

2008年1月より「SLEルール」という、クラブの反発力を規制する世界基準のルールが適応されました。ドライバーだと反発係数が0.830(ミート率換算で約1.5)を超えると「不適合クラブ」となり、公式な大会等では使用できません。

このため、現在市販されている新品のクラブは、全て上記の反発力規制を満たしています。そしてドライバーに限らずアイアンでもユーティリティでも「飛ばないクラブ」なんてものは絶対に商品として売れないので、メーカー側は反発係数をルール合格ギリギリの範囲で作っています。ゆえに現状のルールでは、ヘッドの素材がチタンであれマレージングであれ、限界ギリギリの反発力に作っているので、飛距離性能には全く関係ないのです。

現在のクラブは反発力が規制されている

ちなみに、反発係数の規制ルールが作られた理由は、メタルヘッドのドライバーの登場以降、飛距離が伸びすぎて問題になったからです。特に男子プロは、タイガーウッズを皮切りに300ヤードを越えるのが当たり前になり、相対的にコースが短くなりすぎてゲームバランスが崩れたのです。マスターズを開催するオーガスタナショナルGCのように、距離を延長するゴルフ場も増えましたが、敷地の関係上それも限界があるので、クラブを規制するしか無かったのです。

以上のように、クラブヘッドの素材がチタンであれマレージングであれ、反発力の差は出ないのです(どのメーカーも、規制ギリギリの反発力)。将来、最新の材質を使用したクラブが販売されようとも、反発力は規制内なので「新素材で飛距離アップ!」なんて事は、現状のSLEルールが続く限りあり得ないのです。

2008年のSLEルール施行前のクラブや、そもそもルールを無視して高反発にしたドライバーも売られていますが、競技会やハンディキャップ算出ラウンドでは使えません。

★関連ページ;高反発ドライバーはどれくらい飛距離が伸びるか?

ゆえに、ゴルフクラブの飛距離性能というのは、フェースの素材による差は無く、比較すべきは「ロフト角」と「シャフトの長さ」の二つだけです。基本的には、ロフト角が立っている(小さい)ほど、またシャフトが長いほど、飛距離は大きくなります。厳密には、シャフトの固さやクラブの重さなども飛距離に影響しますが、単純に「柔らかいほど(硬いほど)飛ぶ」というような法則ではなく、あくまで各プレーヤーのスイングリズムやヘッドスピード等にマッチすれば飛びやすい・・・という事です。

★結論; クラブヘッドやフェースの素材による飛距離の差は無い!

余談ですが、材質による打感の違いはかなり大きいです。例えば、マレージング綱のクラブは「打感が硬い(金属製のキンキン甲高い音)」という性質があります。ただし硬い打感が好きという人も居ますし、スコアに直接影響する要素ではないので、ここでは割愛します。またスピン性能も、影響するのは主に「溝(スコアライン)」で、素材による差はほぼ無いです。

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