HOME > クラブの選び方 > ショートウッドのメリットと欠点
ショートウッドとは、ゴルフで「ウッド」と呼ばれる種類のクラブのうち、7番・9番・11番・13番などを総称した呼び方です。ウッドでも3番(スプーン)から5番(クリーク)まではフェアウェイウッドと呼ばれますが、それらより更にシャフトが短くてロフト角が大きいものがショートウッドです。但し厳密に名称を分ける基準はなく、7Wや9Wもフェアウェイウッドと呼ばれる場合もあります。
ショートウッドのロフト角は、7番ウッドで平均21度ですから、4番アイアン相当です。9番ウッドなら平均24度程度なので5番アイアンと同程度です。但し、後述するようにアイアンよりも平均で2インチ(約5cm)ほどシャフトが長いので、芯で捉えた時の最大飛距離はショートウッドの方が飛びます。
ショートウッドのロフト角の平均 | |||||
種類 | 7番ウッド | 9番ウッド | 11番ウッド | 13番ウッド | 15番ウッド |
ロフト角 | 20〜22度 | 23〜25度 | 25〜28度 | 30度前後 | 33度前後 |
相当アイアン | 4番I | 5番I | 6番I | 7番I | 8番I |
かつて日本のゴルフ界には「ショートウッドはシニアや女性などが使うものだ」「若い男が7番ウッドとか恥ずかしい。3番アイアンを使え!」という風潮がありました。しかし、片山晋呉プロが2001年の全米オープンで4位入賞の際、7番ウッドや9番ウッドを使ったことで、このような偏見は縮小していきました。
近年では、女子プロならロングアイアンはおろか5Iすら使わず、アイアンは6番からでショートウッド(若しくはUT)を採用するという人も増えています。ショートウッドの女王と言えば、11番ウッドまで活用する北田瑠衣プロが有名ですね。
※当サイト管理人が購入した、プロギア製の9番ウッド。
ショートウッドのメリットは、芯が広くてミスに強い事が第一に挙げられます。同じロフトのアイアンと比べると、平均して2倍は広いというのが定説です。一般のアベレージゴルファーは打点が安定しないので、スイートスポットが大きいクラブは圧倒的に有利です。
またウッドは低重心なので球が上がりやすく、グリーンでも止まりやすいというメリットもあります。アマチュアゴルファーがロングアイアンを使いこなせない理由は、芯が狭い上に球が上がりにくいからです。
※ロングアイアンは仮に真芯で捉えても、ヘッドスピードが遅いと球が上がらず全然飛びません。女子プロがロングアイアンを使わず、ショートウッドやユーティリティを使う人が多いのも、ヘッドスピードが足りずに球が上がらない事が理由です。
また、同じロフトのアイアンやユーティリティよりも若干シャフトが長い(1〜2インチ程度)ので、最大飛距離も大きくなる点もメリットですね。長いとミート率が下がる事が心配なら、グリップエンドを余らせて短く持てば良いです。短いクラブを目一杯の長さで持って振るより、長いクラブを短めに持って振る方が、カウンターバランスが働いて振りやすくミートしやすくなります。
このようにメリットが非常に多いショートウッドですが、欠点も無い訳ではありません。
ショートウッドのデメリットとしては、球が上がりやすすぎて、低く打つのが難しい事です。特にティーアップして打つと、すぐに吹け上がってしまうので、打ち下ろしのショートホールで風の強い時などは、コントロールが難しいです。
またアイアンやユーティリティに比べてヘッドが大きいので、構えにくいと感じる人も少なくありません。ヘッドが大きいからスイングで地面を擦りやすそう(=ダフリやすそう)に見えてしまう事が原因です。
※4千円で購入した中国製?(メーカー不明)の謎の11番ウッド。
そしてショートウッド最大の欠点は、そもそも販売数が極端に少ない事です。ゴルフショップに行けば一目瞭然ですが、通常、有名メーカーのウッドシリーズはクリーク(5番ウッド)くらいまでしか売られていない事が多いです。
テーラーメイドやナイキなどの外資系ブランドでは、7番ウッドは特注のみ、9番ウッドは存在しない、といったモデルが多いです。酷い場合はウッドは5番で打ち止め、7番ウッドすら存在しないモデルもあります。
※ショートウッドが無い代わりに、汎用性が高いユーティリティを推しているメーカーが多い。
ダンロップ(ゼクシオ)などの日本メーカーは、9番ウッドも存在するモデルも多いですが、そもそも生産数が少ないようで、ゴルフ5などの新品ショップでも、あるいは中古ショップでも数が極端に少ないです。また存在しても、ほとんどがシャフトが柔らかい「R」なので、普段SやSRといった硬めのシャフトを使っている人だと、しなりのタイミングが掴めず、芯は広いはずなのにかえってミートしずらい場合もあります。
つまりショートウッドが欲しくても、絶対的な販売数が少ない為、自分に合うクラブを探すのに苦労する事が、最大のデメリットなのです。実店舗では見かける事が少ないので、ネットで探すしか無いでしょう。
しかし、日本ではゴルフ人口の高齢化により、非力な人向けの球の上がりやすいクラブの需要は増えていくはずです。今はほぼ見かける事のない11番ウッドや13番ウッドも、いずれ珍品では無い時代が来るのではないでしょうか?
ショートウッドのこぼれ話
・外資メーカー製のショートウッドは少ないが、プロギアやマルマンなど日本の一部メーカーは積極的に作っており、差別化を図っている。
・北田瑠衣プロはメンズ用の23度の9番ウッドの他に、レディース用の25度の9番ウッドを「11番ウッド」と呼んで利用している。
・現在でもしつこく生存する「ショートウッド否定・ロングアイアン賛美」の老害ゴルファーは、更なる加齢と共に3番アイアンを打てなくなるので、やがて絶滅していくと思われる。
2013年には「6本木の男(ウッドやUTを6本も使う)」と呼ばれた井戸木鴻樹プロが、全米プロシニアゴルフ選手権に優勝したことも、時代の変化を象徴しています。今後はショートウッドの販売数が増えていく事を期待したいですね。