HOME > クラブの選び方 > ゴルフクラブのシャフトが折れる原因
2014年に松山英樹プロが米国ツアーで優勝した際、ドライバーのシャフトが折れたことが、報道ステーションなど一般ニュース番組で報じられ話題になりました。ティーマーカーにぶつけたというのが原因なようですが、さすがヘッドスピードが50m/sを越えるだけあるな・・・と感心した人も多いでしょう。
しかし松山プロのように、物にぶつける事が原因ではなく、普通に球を打つだけでゴルフクラブのシャフトが折れることもあるのです!当サイトでも紹介している佐久間馨氏や、雑巾王子こと武市悦宏プロは、これまで何度もシャフトを折っていると著書で述べています。ダフって地面を叩いた訳ではなく、普通にスイングしてボールを打った衝撃で折れる(しかも二人ともカーボンではなくスチールシャフト!)というのです。
折れるポイントは、如何にもしなって折れそうなヘッドの近く・・・ではなく、グリップの部分だと言うから、なおさら驚きです。一体どういう原理なのでしょうか?
佐久間氏の分析によると、グリップの右手と左手が交差するあたりが、互いの手が逆方向に力を掛ける(右手は押して左手は引く)ので最も大きな負荷が掛かり、折れやすいポイントになるのだそうです。ヘッドを走らせるためのいわゆる「前倒し動作」が、シャフトを強烈にしならせて、折れる原因を作るという訳です。
出典;佐久間馨パープレーは誰でもできる (にちぶんMOOK)
実は当サイト管理人の友人にも、スチールシャフトを折った人物が居ます。彼はアマチュアゴルファーですが、ヘッドスピードが50近く出る相当なハードヒッターで、折れたのはやはりグリップに近い手元の部分でした。
いずれの事例も、上級者でパワーヒッターだからというのが最大の原因であり、アベレージゴルファーのパワーでは、普通に打っただけではまず折れることは無いようには作られています。
上記がいわば「正しいシャフトの折れ方」ですが、地面をダフって折れるケースを想像する人も居るでしょう。当然ながら、ダフった場合の方がシャフトに掛かる衝撃が大きいので、折れやすくなりますが、それでも相当なハードヒッターでなければ起こりえない事故です。
当サイト管理人の知る唯一の事例が、プロ野球・ソフトバンクの柳田悠岐選手。彼が新しいドライバーを買った初日に、練習場で壮絶に地面をダフって破壊した、とラジオ番組で自虐ネタを披露していました。これも、プロ野球界でも最高峰のフィジカルを誇る柳田選手だからこそ。ヘッドスピードが40m/s程度のアベレージゴルファーだと、地面を少々ダフっても折れる事はありません。
ですが古いクラブだと、アマチュアが打っても折れる事があるという話をクラフトマン(ゴルフクラブのチューニングを行う専門家)から聞いたことがあります。スチールシャフトは金属である以上、経年劣化が原因で脆くなる性質があるとのこと。具体的には15年とか20年も経っていると相当劣化していて、素人のヘッドスピードで打っても折れる危険性が出てくるのだとか。
なおカーボンという素材は、登場してから歴史が浅いので、経年劣化がどの程度あるのかまだ十分なエビデンスが得られていません。従ってカーボンシャフトの方が、スチールよりも長持ちするのか否かは、はっきりした答えはありません。
さすがに5年や10年では大丈夫とのことですから、中古ショップで売られているクラブは概ね問題ないです。しかしゼクシオなどの人気モデルだと、中には2005年より前のモデルが売られているケースもあるので、中古クラブを買う際は一応、発売年数を注意しておく方が良いでしょう。