HOME > クラブの選び方 > アイアンとユーティリティとウッドの違い
ゴルフクラブにはパターを除けば、ウッドとアイアン、そして両者の中間的な存在のユーティリティ(別名ハイブリッド)という、3種類の形状のクラブがあります。
最も飛距離を出したいティーショットでは、1番ウッド=ドライバーを使いますし、100ヤード以内の短い距離やグリーン周りのバンカーからはアイアンを使います。一方で、150〜200ヤード程度の中間距離では、ユーティリティを含めた三種類のクラブどれも使う可能性があります。そこで、アイアンとユーティリティとウッドの特長と違いを比較してみました。
初心者向けの5番アイアンだとロフト角は24度程度が平均ですが、同様に5番ユーティリティは5番アイアンの代用品なので24度程度が多いです。ウッドだと9番ウッドのロフトが丁度24度前後です。この三種類のクラブのメリットと評判を比較したのが、下の表です。
同じロフト角のアイアン・UT・ウッドの性能比較表 | |||
5番アイアン | 5番ユーティリティ | 9番ウッド | |
ロフト角 | 24度 | 24度 | 24度 |
シャフト長さ | 38インチ | 38〜40インチ | 41インチ |
球の上がりやすさ | × | ○ | ◎ |
飛距離 | × | △ | ○ |
芯の広さ | × | ○ | ◎ |
方向性 | △ | ○ | △ |
シャンクの有無 | あり | 形状による | なし |
アマチュアの評判 | × | ○ | △ |
操作性 | ◎ | △ | × |
評価 | アマにはメリット無し! | ウッドより短いので飛距離と 打ちやすさを両立している |
飛距離が出て芯も広いが 長くて扱いづらい |
まずシャフトの長さですが、5番アイアンはほとんどが38インチです。5番ユーティリティは、それと同じか、若干長く40インチくらいの製品もあります。一方で9番ウッドは平均41インチ位の長さがあります。つまり両者は平均3インチ(7.6cm)ほどの差がある訳です。
ゴルフクラブの最大飛距離は、ロフト角とシャフトの長さでほぼ決まります。従って、5番アイアンよりも9番ウッドの方が、同じロフト角なのに最大飛距離は大きくなります。クラブは1インチでヘッドスピードが1m/s変わるというのが定説なので、9番ウッドは5番アイアンよりも最大で15ヤード程度飛ぶ計算になります。
また後述するように、クラブヘッドがウッド形状の方が芯(スイートスポット)が広いので、中心からずれてヒットしても距離ロスが小さいです。アマチュアは常にクラブの中央(真芯)で捉えられないので、平均飛距離という意味では、さらにウッドの方が飛ぶ事になります。
またクラブヘッドがウッド形状の方が、重心が低くなり、球が上がりやすいメリットもあります。特にヘッドスピードが遅いほど、その差が顕著になります。これには諸説ありますが、総合すると、5番アイアンをまともに使いこなすには、ドライバーのヘッドスピードが43m/s以上は必要と言うのが定説といえます。それ以下の人は、芯で捉えても球が上がりきらないので、理論通りの飛距離が得られないのです。
ですからアマチュアが使った場合には、9番ウッドと5番アイアンの飛距離の差は、同じロフトとは思えないほど大きくなります。ゆえに平均スコア100前後のアベレージゴルファーからは、5番アイアンは「難しすぎて使いこなせない」という口コミがほぼ100%です。
同様にクラブヘッドがウッド形状の方が、後方へ体積が大きい分、フェース面の芯(スイートスポット)が大きくなります。つまり飛距離だけでなく、打ちやすさという面でも、ウッドの方がアイアンよりも優秀なのです。但し前述のように、ウッドはシャフトが長いので、その分正確にミートするのが難しくなります。
このデメリットを減らしたのが、ウッドの形状なのにシャフトがあまり長くないユーティリティです。21世紀に入り、ロングアイアンやショートウッドが廃れ、ユーティリティが大流行した理由は、両者の良いとこ取りをしてデメリットがほぼ無いクラブだからです。
おまけにウッド形状のクラブだと、ソケット(ヘッドとシャフトを繋ぐ部分)が出っ張っていないので、シャンクが物理的に起きません。初心者はシャンクする確率も高いですから、起きない構造のウッドやユーティリティの方が、明らかに有利なクラブと言えるでしょう
※上記のようなアイアンに近い形状の、グースネック型のUTだとシャンクが起きます。
このようにウッドやユーティリティは、アイアンと比較してメリットばかりが目立ちます。では何故、プロゴルファー(特に男子プロ)は、ショートウッドやユーティリティをあまりつかわず、4番や3番などのロングアイアンを多用するのでしょうか?
実はアイアンの唯一と言ってよいメリットとして「操作性の高さ」があります。アイアンはウッドに比べてヘッドが小さいので、慣性モーメントが小さく、スイング軌道を自在に操りやすいことや、抵抗を受けにくいというメリットがあるのです。
どういう事かと言うと、例えばわざと高い球や低い球を打ち分けたり、フックやスライスなど曲げる球を打つ場合には、ヘッドの小さいアイアンの方が打ちやすいのです。また深いラフから打つ場合には、ヘッドが小さい分芝の抵抗が少ないので有利です。ヘッドが小さいと地面との接地面積が減るので、左足下がりやつま先上がりなど、ダフリやすい傾斜地からのショットでも少し有利です。
プロゴルファーは当然ながら、スイングの安定性がアマチュアとは桁違いで、常にフェースの中心でボールを捉えられるので、大きなヘッドである必要性が薄いのです。それよりも、深いラフからグリーンを狙っていったり、わざと球を曲げて攻めたり出来る方が有利なので、プロはロングアイアンを使うのです。女子プロやシニアプロなど、ヘッドスピードが遅い人はウッドやユーティリティを多用しますが、男子プロでは圧倒的にアイアン派が多い理由がここにあります。
しかしアマチュアゴルファーは、球を自在に打ち分けたりできませんし、深いラフからロングショットをする必要性も無いです(どうせまともに打てない)。従って、操作性の高さというアイアンの特長は、アマチュアゴルファーには何のメリットにもならない要素です。「アマチュアは5番アイアンを捨ててユーティリティを使え」というのが当サイトの主張です。
同じロフト角のクラブ比較まとめ
・ロングアイアンはアマチュアには何のメリットも無い!
・ショートウッドは飛距離が出て芯も広いが、デメリットもある
・ユーティリティは打ちやすさと飛距離を両立させたクラブ
昔から非力な女性や子供、高齢者はロングアイアンではなくショートウッドを使うことが勧められますが、成人男性でも見栄を張らずにユーティリティやショートウッドに変えた方が「圧倒的にスコアが良くなった」という口コミが多いです。
ですから初心者の人は、まずアイアンセットに付いている5番アイアンをバッグから抜き、ユーティリティか9番ウッドに変える事から始めましょう。ただし9番ウッドは販売数自体が少ないので、ロフト角が25度前後のユーティリティを買うのが、現実的な選択肢でしょう。