HOME > クラブの選び方 > キャロウェイ・ローグとエピックの比較
インターネットでは、キャロウェイの2018年最新モデル「ローグスター」とその限定モデル「ローグ」についての様々な評判が飛び交っています。最新モデルのクラブは、メーカーが宣伝広告費を大量投下するので、メディアへの露出も増えるので当然の成行でしょう。
では実際にローグシリーズの性能は、先代モデル「エピック」と比較してアップしたのでしょうか?キャロウェイの広告では「30ヤード飛距離アップ」なんて被験者が載っていますが、あれは本当なのでしょうか?結論から先に言うと・・・
★ローグは先代モデル「エピック」とほぼ違いが無い
となります。従って「ローグぶっ飛びだよ!」というようなネットの評判は、業者のステマである可能性大なので、注意が必要です。
先代モデルと変わらないと断定できる理由は、2018年現在のゴルフクラブは、規制により最大飛距離が限定されているので、最新モデルになって「何十ヤードも飛距離が伸びた!」なんて事は物理的にあり得ないからです。ドライバーに限らず、ゴルフクラブの飛距離を決める要素は・・・
・フェース面の反発力
・クラブの長さ
・ロフトの角度
この3つでほぼ完結します。シャフトの材質やしなり方などその他の要素では、理論的に最大飛距離は変わらず、試打ロボットに打たせればほぼ同じ飛距離に収まります。
クラブは長いほどヘッドスピードが上がって最大飛距離は伸びますが、2018年現在のゴルフクラブには「最大48インチまで」と規制されています。また振りやすさの関係から、過去も現在も、市販されるほぼ全てのドライバーが『45〜46インチ』の範囲に収まっています。ローグスターも45.75インチ、数量限定版の「ローグ」も45.25インチです。
ロフトの角度も、大半のドライバーが10度前後であり、ローグ&ローグスターも10.5度と平均的です。
そしてフェース面の反発力に関しては、2008年以降に市販されたクラブは『SLEルール(反発係数が0.830以下)』という規制が掛っているので、どれでも全く同じです(ルール不適合な高反発ドライバーを除く)。弾きが良いドライバーなんてものは存在しないのです。
ローグスターのスペックは、先代・エピックスターとほぼ同じ(ロフト角だけ9.5度⇒10.5度に増えている)で違いは無いので、いきなりぶっ飛びになるはずが無いのです。
確かに人間は試打ロボットと違い、感覚で身体を動かすので、シャフトのしなるポイントや、構えた時の見た目(クラウンの形状やフックフェースか否か等)も影響します。従って、人によってはドライバーを買い換えると、飛距離がアップするケースも全く無い訳ではありません。
しかし、10ヤード以上も飛距離が伸びるなんて事はほぼありませんし、あったとすればそれは少ない試打の中で生まれた確率の誤差に過ぎず、次の日打ってみたら「昨日と違ってあまり飛ばないぞ?」となるのがオチです。ローグの広告では「飛距離が30ヤードアップした!」なんて書いてますが、そんな事は物理的に絶対にありえないので、たまたま飛距離ムラが出た下手くそな被験者の数値を出してるだけに過ぎません。
上記の石川遼プロの試打動画では、本人は「初速が上がってる」なんて言ってますが、実際のボールスピードは75.7⇒76とほぼ変わらず、飛距離も誤差の範囲と言える結果です。仕方ないので(?)打ちやすいとか弾道が高いとか、曖昧な感覚の話で褒めるしかなくなっていますね。
この話は、何もキャロウェイ・ローグシリーズに限った話ではなく、テーラーメイド・M4だろうが、タイトリスト・VG3だろうが、どんなメーカーでも同じです。ドライバーを買い換えるだけで何十ヤードも劇的に飛距離がアップするなんて事は、反発係数やシャフトの長さが規制された現在のゴルフ用具では、物理的に絶対ありえないのです。
★ローグに限らず、どのメーカーも最新モデルと旧作では大差ない
もし本当にローグに変えて30ヤードも飛距離がアップするのなら、プロゴルファーの大半が現在のメーカーとの契約を破棄して、ローグを使い出しているはずですからね。
別に当サイト管理人は、新しいクラブの全てを否定するつもりはありません。新作が出たらとりあえず買ってみる・・・というのもゴルフ文化の楽しみ方の一つなので、お金に余裕がある人はいくらでも買えば良いでしょう。
しかし「このドライバーにすれば何十ヤードも飛距離アップするかも?」と期待してドライバーを買い換えるのは、メーカーの出汁にされている情弱であり、愚の骨頂な行為です。繰り返しますが、現在(2008年以降)売られているゴルフクラブには、フェースの反発力など様々な規制が掛けられているので、理論上、最大飛距離アップするはずがないのです。
「でもPGAツアーのプロ達の平均飛距離は伸びているぞ」と否定する人も居るでしょう。しかしプロゴルファー達の飛距離アップは、フィジカルの高度化(体格の大型化や筋力トレーニング等の普及)と、トラックマン等のデータ解析によるスイング改造(アップライト化やパッシブトルクなど)と弾道の最適化(高弾道&低スピン化)によるものです。アマチュアゴルファーの平均飛距離は、2008年以降「ほとんど変わっていない」というのが定説です。
※PGAツアー公式。近年は400ヤード級のPAR4の1オンも珍しくない・・・。
事実、プロスポーツ選手の体格の巨大化やデータによる最適化は、野球やサッカーやテニスなど、あらゆる球技で見られる傾向で、投手の球速アップやサーブの高速化などを生んでいます。一方で、どんなスポーツでも「アマチュアの平均レベルはほぼ変わっていない」が定説なので、用具の進化によるレベルアップが無い事は、ゴルフ以外の球技でも共通しています。
反発力はアップしなくとも、フェースの芯(スイートスポット)の拡大化は進んでいるので、最大飛距離は変わらなくとも、平均飛距離は伸びる可能性があります。ただしそれも、クラブヘッドの大きさに規制があり(最大460ccまで)、ローグスター始めほぼ全てのドライバーが限界まで巨大化しているので、芯の広がりの余地も僅かしかありません。
ローグスターをあえて名指しでやり玉に挙げたのは、その広告があまりの誇張表現〜語弊を恐れず言うとインチキな表記だからです。最新モデルだろうが何だろうが、30ヤードも飛距離が伸びるなんてテスト結果は、偶然バカ当たりした人のデータだけを抽出しだに過ぎません。
そして基本的にどのゴルフクラブメーカーも、性能なんて先代モデルと変わらないのに、ドライバーはボッタクリ価格(新品なら7〜8万円)であり、暴利を貪っています。早い話が、ドライバーを買い換える行為は、費用対効果がほとんどない、コスパ最悪の愚行なのです。
その一方で、メディア〜ゴルフ雑誌やゴルフサイト、あるいはユーチューバーなども、メーカーから金やクラブを提供されているのでヨイショする事しか言えず、「前のモデルと別に変わらないよ」なんて口が裂けても言えないのです。このようなゴルフ業界の悪しき習慣に騙され「クラブを買い換えたら飛ぶのかも・・・」と無駄金を浪費する初心者ゴルファーを増やさないためにも、当サイトはあえて真実を語っている訳です。
最新のドライバーでも、物理的な飛距離性能は旧モデルと全く同じ
初心者ゴルファーの人は、この不都合な真実をぜひ覚えておいて下さい。最新クラブで飛距離大幅アップ!なんて評判は、水素水のようなインチキ商品の口コミと大差なく、もし効果があっても「気のせい」とか「偶然」の領域に過ぎないのです。
お金があり余っている富裕層の人はどうぞご自由に・・・ですが、そうでない人はクラブの性能に夢を見ず、飛距離アップは腕を磨くしかないと割り切りましょう。お金がないなら、何世代か前の中古ドライバーでも十分です。キャロウェイなら先代の「エピック」どころか、更に前であるXR16やビッグバーサでも飛距離性能は全く変わらないので、コスパを考えるなら中古クラブが最強となります。
キャロウェイ・ローグとエピックの違い比較まとめ
・ローグとエピックにスペック上の違いはほぼ無い
・現在のドライバーは規制値ギリギリ。最新クラブでも飛距離は伸びない
・キャロウェイに限らず、どのメーカーも最新ドライバーはコスパ最悪!
繰り返しますが、これは理論上の話であって、人間〜特にアマチュアゴルファーの腕前なら「フィーリングに合う合わない」で飛距離がアップする可能性はゼロではありません。ですがドライバーは高い買い物なので、徹底的に試打して納得して買い変える事が必須ですよ。