HOME > 有名レッスンプロの内容と評判 > 佐久間馨のSメソッドゴルフ
佐久間馨氏は、ゴルフ科学研究所の主宰であり、2010年にゴルフダイジェスト誌のレッスン・オブ・ザ・イヤーを獲得した人物です。「パープレーは誰でも出来る!」とか「練習ぎらいはゴルフがうまい! 」のように、過激なタイトルの著書も多いです。しかし単に目立つ事が目的なネーミングではなく、Sメソッドの内容は実に理に適っており、一部のゴルファーから熱狂的な評判も得ているので、一部紹介してみます。
佐久間氏のSメソッドゴルフでは、人体の構造を利用してスイングをシンプルに考えることを提唱しています。骨格や筋肉の構造上「これ以上回らない」ことや「身体の一部を動かすと別の一部も連動して勝手に動く」ことなどを利用して、いつでも同じスイングが出来るように仕組んだ理論です。SメソッドのSには、科学(サイエンス)の頭文字から取ったSですが、同時に「シンプル」という単語のSを指す意味と、人体がこれ以上動かないという「ストッパー」のSという内容も込められているそうです。
一例を挙げると、インパクト直前に左手グリップの小指&薬指を強く握り込む動きを行えば、人体の構造上、勝手に左手が反時計周りに90度旋回します。この反射を利用すれば、適切なフェースローテーションが行える上に、インパクト前に大きくヘッドが旋回する(運動量が増える)ので、ヘッドスピードが上がるとレッスンされています。当サイト管理人は(氏への敬愛を込めて)この動きを「佐久間ターン」と呼んでいます。
画像出典;佐久間馨パープレーは誰でもできる (にちぶんMOOK)
この佐久間ターンの動きは、いわゆるシャフトの前倒しに相当します。桑田泉プロや雑巾王子の「手をひっくり返せ!」というレッスンや、栗林保雄氏の「ピストンスナップ」なども同じ意味です。グリップを上手く動かせば、逆テコの原理が働いて、手元の動きは小さいのにヘッドは大きく動くという物理現象が起こります。この前倒しが使えれば、ヘッドスピードが上がるだけでなく、シャフトが逆しなりを起こしてフェースが閉じる(=スライスしない)ので、飛距離が延びます。
佐久間氏のレッスンによると、スイングの軸を意識するのではなく、左胸鎖関節を支点に考えると、安定して芯で捉えやすくなると言います。また、手首をコックすることや、スイングにおける体重移動は、自分で行うのではなく「勝手に起きること」だと言います。コッキングはクラブの重さと慣性力で勝手に手首が曲がるだけ、体重移動は正しいスイングを行えば意識せずとも勝手に起きることだ、ということです。
とにかく自分で意識的に体を動かす事を極力省き、いくつかの正しい動きを行えば、それ以外の動きは人体の反応で自然に起きるというのが、Sメソッドゴルフのベースになります。意識的に動かす事を減らすほど、ミスショットの確率も減らせるという理論です。
佐久間氏はゴルフの初ラウンドで121だった後、球を打つ練習はほとんど行わずにゴルフスイングの研究に没頭し、1年後の2度目のラウンドでは73というスコアで回ったと言っています。
初心者としては信じられないようなスコアを出せた理由は、その間に徹底的にゴルフの研究を行い、どうして球が曲がるのかとか、身体をどう動かせばより飛距離がでるのか、等を論理的に研究し尽くしたことだそうです。その基礎研究が、佐久間氏がゴルフ科学研究所を開くことになったベースなようです。
本当に練習もせずに73で回ったという証拠は無いですし、常識的に考えるとありえない話に思えます。ですが、佐久間氏が公式ハンディキャップ(JGAハンディ)プラス3.1な事や、東名カントリークラブのクラブチャンピオンを獲得している事から、ゴルフの腕前がプロ並みだという評判は事実です。
Sメソッドの内容は、理屈が通っており概ね正しいとは思いますが、誰でもパープレーを出せるほどゴルフは甘くないです。身長168センチで60歳近い見た目普通のおじさんが、自在にボールを操っているのを見ると、Sメソッドゴルフが優れているだけではなく、佐久間氏自身がプロ並の才能を持ったゴルフの天才なのでは・・・と思えて仕方ないです。アマチュアゴルファーの佐久間氏への評判が賛否分かれているのも、この点が理由でしょう。