HOME > 悩みの原因と対処方法 > ゴルフで正しい右肘の動き
ゴルフでの身体の各部位は、伸びる・曲がる・捻られる、など実に様々な動きをします。初心者の人は、上手い人に習うとかレッスンに通うとかしない限り、自分の体の使い方は正しいのか?どう動けばよいのか?分からず悩む人も多いでしょう。
ここでは初心者にエラーが多い、右肘(みぎひじ)の正しい使い方を説明します。
ゴルフスイングでは、バックスイングで右肘は曲がっていき、ダウンスイングでは逆に伸びていってボールを打ちます。この仕組みは、ゴルフ雑誌の写真などを見れば一目瞭然なので、大抵の人は分かっているでしょう。しかし問題なのは、インパクト時の右肘の形です。
初心者ゴルファーは、インパクトの瞬間に右肘が完全に伸びる人が、結構多いです。しかし実は、インパクト時にはまだ右肘が完全に伸びきっていない事が、ボールを飛ばす上で極めて重要になります。右肘が伸びた状態でボールを打ってはいけないのです。
下記は宮里藍プロの超スロー版スイング動画です。ダウンスイングの途中〜クラブが水平になった辺りでは、まだ右肘は90度近く曲がったままです。そしてここから徐々に伸びていくのですが、ボールをヒットする瞬間は、まだ右肘は若干曲がっていることに注目して下さい。
ボールに当たった瞬間は、まだ右肘が伸びる直前なのです。そしてフォロースルーに入った時に右肘がピンと伸びています。これが、インパクトゾーンにおける右肘の正しい使い方です。
これは何も宮里藍プロだけに限った話ではありません。全てのトッププロに共通する動きで、インパクトで右肘が伸びきっている人など居ません。下記は、2018年現在世界ランキングトップ10に入っている、ジェイソン・デイとジャスティン・トーマスを比較したスイング動画です。二人とも、右肘がピンと伸びるのはインパクトの後〜フォロースルーである事が分かります。
このように、インパクトの際には右肘は伸びきる直前である事が理想です。実はこの動き、ゴルフに限った話ではありません。野球のバッターも、テニスのフォアハンドショットも、インパクトで右肘は少し曲がった状態でボールをとらえ、フォロースルーで完全に伸びる動きをします。
右肘が伸びきらずに少し曲がっているのは、俗に言うタメが効いた状態で、慣性モーメントが小さくなるのでヘッドスピードが上がります。またボールを強く押せる(インパクトで当たり負けしない)ので、2重の意味で飛距離が伸ばせるのです。初心者ゴルファーで、筋力は強いはずなのに飛ばないという人は、インパクトで右肘が伸びきっていないか、スマホで撮るなどしてチェックしてみるべきです。
なお、切り返し(トップの位置)での右肘の動きについても少し触れておきます。ベン・ホーガンらが全盛期の時代には、右の脇が開かないようにスイングする事が正しいとされ、右肘が身体から離れるのはフライングエルボーと呼ばれる「間違った動き」とされていました。今でも、フライングエルボーは御法度だとされるレッスンも一部には残っています。
しかし1970年代頃から、ジャック・ニクラウスやジャンボ尾崎らが、フライングエルボーから強烈な飛距離を出して優勝しまくった事で、この定説は崩れました。現在では右脇が少々開くのが主流で、池田勇太プロや渡邉彩香プロのように、右肘を大きく上げてアップライトなスイングを行う選手も増えています。
アップライトなスイングの方が、アームローテーション(フェースの開閉量)を最小限にできますし、位置エネルギーが増える事やスイングアークが大きくなる事で、飛距離も伸びます。物理的な面だけで言うと、ベンホーガンのようなフラットなスイングより、アップライトなスイングの方が有利です。
ただしアップライトなスイングは、左肩(左肩胛骨)の柔軟性が無いと実現できません。また上下の打点のブレが大きくなる(ダフリやトップが増える)というデメリットもありますし、重心の上下動が発生しやすいのでスイングを安定させるのがとても難しいです。練習量が少ないアマチュアゴルファーが、ジャンボ尾崎や渡邉彩香のような右肘が大きく上がるスイングを目指すのは、少々無謀だと思います。
ゴルフで右肘(みぎひじ)の正しい動きまとめ
・バックスイングで右肘は曲がる⇒ダウンスイングで伸びる
・若干曲がった状態でインパクトして、フォローで伸び切るのが正解
・トップで右脇が開く(フライングエルボー)のは間違いではない
アマチュアゴルファーの人は、トップで右脇が開くかどうかはあまり気にせず、自分のフィーリングにあった形であればそれでよいと思います。右肘は、とにかくインパクトで伸び切らない事に気を付けるのが最重要です。