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オースチン打法とは、公式ギネス記録=515ヤードを記録した米国のプロゴルファー、マイク・オースチン(Mike Austin)氏のスイング理論を、その弟子達が体系化したものです。
オースチン打法の最大のポイントは、飛距離と正確性を両立させるために、アームローテーションを行わない(厳密には少し逆にローテーションする)という事です。オースチン打法の解説書では、カウンターローテーションと表現されています。
通常のゴルフスイングでは、バックスイングと共に前腕を自分から見て時計回りに捻っていきますが、オースチン打法では手首をヒンジングさせ、前腕を反時計回り(フェースがボール方向を向き続ける)に少し捻ります。腰の高さ以降はそのまま腕を垂直に上げていき、シャフトクロス気味のトップになります。
おそらく文字で読んでも理解できないでしょうから、下記のゴルフダイジェストの特集動画を見るのが最も理解しやすいです。シニアツアーで活躍中の田村尚之プロのスイングが、オースチン打法の動きと瓜二つだそうです。
インパクトゾーンで前腕を返さず、手首を横に振る動き(ヒンジング)で打つという訳です。右手グリップが左手の上に被さっていくのが通常のスイングですが、そうではなく左手の下を通過していきます。この動きだと、フェースが開閉しないので左右への曲がりが極力抑えられるというメリットがあるのです。
この「アームローテーションを行わず、手首のヒンジングで打つ」という動きは、デビッド・レッドベターのAスウィングと全く同じです。レッドベター氏は、石で水切りするような投げ方(野球のサイドスロー)の動きだと言いますが、オースチン打法ではボーリングの球を投げるような動き、と表現されています。いずれにせよ、前腕を回さず手首をスナップさせる動きで、フェースを開閉させずに振り抜け、という内容は同じです。
実はオースチン打法のポイントは、この前腕の使い方がほぼ全てといっても過言ではありません。日本で唯一のオースチン打法の解説書では、ボディーターンではなくピボット(てこの動き)で縦に身体を使えとか、ロープを引っ張って動きを習得するドリル等が紹介されていますが、正直どうでも良い事です。
ボディーターンについては、腰を切り上げる動き(若林プロ)とか、足の踏み込み(安楽プロ)、足を回す(桑田泉プロ)、ヒップターン(中井学プロ)など、色んな表現・感覚でレッスンされますが、結局は全員同じゴルフスイングの動きになります。身体の回転ではなくテコの動きだと否定されても、事実マーク・オースチンのスイングはしっかり身体は回転して、普通のゴルフスイングになっています。ボディーターン理論の差異は、各人の感覚にすぎないのです。
というか、上記のオースチン打法の解説書は・・・正直言ってあまりお薦めできないです(あくまで個人的感想です)。和訳が悪いとかではなく、原本の図説や写真の使い方、また著者のダン・ショウガーの解説文が酷すぎで、何が言いたいのか全く理解できない内容なのです。アメリカ人が作るスポーツ解説書にありがちですが、他人に論理的に説明する能力が欠落した悪文です。
オースチン打法の内容まとめ
・アームローテーションを行わない。むしろ途中までは逆に腕を捻る感じで
・手首のスナップ(横の動き)でフェースを真っ直ぐ振り抜く
・下半身はボーリングのような動き
但し、解説書の説明が酷いだけで、オースチン打法の理論自体は、非常に有用な打法の一つだと思います。何せ核となる部分は、世界一のレッスンプロと称されるデビッド・レッドベターと同じですから、現代のゴルフ(ヘッドの大型化と長尺化)にマッチした理論だと言えます。日本にもオースチン打法のレッスン教室があるようなので、興味のある人はそこで学んでみるのがよいと思います。