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プロゴルファーの中には、教科書通りの美しいスイングの人も居れば、非常に個性的・独特な人も少なくありません。現代における個性派スイングの代表格が、アメリカツアーで活躍するブライソン・デシャンボー選手です。
まず、後方から見たデシャンボー選手のスイング動画です。ご覧のように、アドレス時に肘や手首が全く曲がらず、ピンと伸ばしたままの超ハンドアップに構えます。シャフトと腕が一本の棒のように、一直線です。そして、そのシャフトの傾き(シャフトプレーン)をなぞるようにクラブを上げ、ダウンスイングでも同じ軌道を下りてきます。
ここまで完璧なシングルプレーンのスイング(※注)をするプロゴルファーは類を見ません。元祖シングルプレーンと言えばハンマー打法のモーノーマンが有名ですが、デシャンボーは一部マニアから「モーノーマン二世」とも呼ばれています。
※注;スイングプレーンが、アドレス時のシャフトの傾きと完全に一致する振り方のこと。
次に正面からのスロー動画です。相当にスタンス幅が狭いことが分かります。そして体重移動がほとんど無い一軸スイングで、コマのように身体の回転させてボールをヒットしています。まるでヤジロベーの如き振り子スイングですね。
一見すると、とてもプロゴルファーとは思えないぎこちない構えですが、デシャンボーはこのスイングで平均飛距離300ヤード以上を記録しています。「アドレス時には手首に角度が付いているのが正しい」とか「手元が上がらないようハンドダウンで構える」だのというレッスンも多いですが、デシャンボーのスイングを見れば、そんな俗説が完全に無意味である事が分かります。
但し、アマチュアゴルファーがデシャンボーのスイングをそのまま真似することは、残念ながら不可能です。ダスティン・ジョンソンなど「真似するのが難しいプロ」は多数いますが、デシャンボーのシングルプレーンスイングは、物理的に絶対に真似できないのです。
実はデシャンボー選手のクラブは完全特注です。極端にハンドアップな縦振りスイングを実現するために、アイアンはライ角が73度という類を見ない仕様になっています。市販されている通常のアイアンのライ角は7番アイアンで61〜2度程度ですから、少々のライ角調整ではとても追いつかないほどの差があるのです。
※ちなみにデシャンボー選手は、全てのアイアンが長さ37.5インチ、ライ角73度で統一しています。全番手を同じリズム・感覚で打ちたいために、そうしているのだとか。
加えてブライソン・デシャンボーは身長185センチです。背が高いほどアップライトに構えやすいのですが、一般的な日本人では明らかに身長が足りません。モーノーマンもシングルプレーンなのですが、身体が小さいので横振り(フラットなスイングプレーン)になっています。
ブライソン・デシャンボーのスイング動画分析まとめ
・手元がハンドアップで、狭いスタンス幅
・腕とクラブが一直線のまま動くシングルプレーンスイング
・アイアンのライ角が73度という超アップライト仕様!
ということで、日本のアマチュアゴルファーがデシャンボー選手のスイングを真似することは「物理的に不可能」なのです。よって彼から学ぶべきは、ゴルフスイングの常識・定説が正しいとは限らないという事です。
デシャンボーはゴルフの常識を疑い、独自に研究を重ねて自ら理想を追求した結果、このシングルプレーンスイングに行き着いたのです。アマチュアゴルファーの皆さんも、巷のゴルフの定説は鵜呑みにせず、本当に正しいのか疑ってみるのも、上達の近道かも知れませんよ。