HOME > ゴルフの物理学 > グリーンの傾斜(ライン)の正確な読み方
ゴルフのPER(規定打数)の半分はパットで構成されており、グリーン周りのアプローチも含めれば、初心者でも上級者も、スコアの過半数がグリーンの傾斜に影響されるプレーとなります。ゆえに、グリーンの傾き(アンジュレーション)を的確に読むことができれば、スコアアップに直結します。
しかし多くのアマチュアゴルファーが、正しいグリーンの傾斜(ライン)の読み方を知りません。初心者に至っては「どうやって傾斜を読めばよいか分からない」「フックとスライスを読み間違えたりする」などと酷い有様です。そこでこのページでは、グリーン上の傾斜の正確な読み方を解説してみます。
傾斜(ライン)の正確な読み方・目次
1.グリーンに上がる前から全体の傾きを見ておけ!
2.歩測時に傾きを足で感じ取れ!
3.他人のパットの転がりを見て参考にしろ!
4.分からなければ真っ直ぐ打つのが正解!
5.芝目を読む裏技
グリーンに上がる前から全体の傾きを見ておく
まず傾斜を読むコツとして「遠くから見る」と「全方向から見る」という2点が重要となります。アマチュアゴルファーにありがちなのが、グリーンに登って、自分のボールをマークして、そこからようやく「ラインを読むか・・・」となる手順です。しかし、グリーンに上がってから傾斜を読もうとしても、その時点で既に出遅れています。
というのは、傾きを目視で測ろうとすれば、遠くから見た方が正確に見えるという法則があるからです。むしろボールやカップの真後ろから見ただけでは、グリーン全体の傾きなど絶対に分かりません。人間の目はかなり錯覚を起こしやすい構造なので、グリーン上の一部分で「登っている」と見えても、実際には下っていた・・・なんて真逆の間違いも起こってしまいがちです。
上記は上りや下りでのパットの距離感の法則のページでも紹介した動画です。最初に車のある位置が窪地のようにみえ、カメラの場所からは下っているように見えますが、実際にはずっと上り坂であり、ブレーキを放すと車がバックしてくるほどなのです。
このように、人間の目は周りの物体の配置や大きさなどで、いとも簡単に騙されてしまうのです。初心者ゴルファーは、上りと下りや、フックとスライスを逆に間違えて大叩きする事も多いですが、原因の多くがこのような「錯覚」に惑わされて、正確なラインを読めていないからです。このエラーを起こさないためには、グリーンに上がる前から、全体的な傾斜を確認する事が重要です。
そしてもう一つのコツは、あらゆる方向から傾斜を見る事です。ボールやカップの後ろからだけでなく、横からも見て、錯覚を起こしていないかを確かめるのです。当然ですが、突っ立った状態では地面の傾きは見えづらいので、屈んで低い姿勢から見る事も重要です。
その際には、グリーン外の木やバンカーなど、他の要素に惑わされないように注意が必要です。特にグリーンとラフの境目、いわゆる「カラー」の部分の線は、曲線として死角に入ってきて惑わされがちです。言うまでもなく、グリーンの縁であるカラー部分の傾きと、貴方がこれから打つラインの傾きが同じだとは限らないですから。
歩測時に傾きを足で感じ取れ!
上記の見方によって、グリーン全体の傾きや、大きな傾斜はまず間違いなく読めるようになるはずです。しかし、傾斜は極めて緩やかでも、転がる距離の長いロングパットでは、大きく左右に曲がるというケースも出て来ます。
このような小さな傾斜を、目視で正確に読む事は、経験を積まなければ難しいです。しかし、目で分からなくても傾斜を読むことができる、裏技的な方法もあります。
一つはライン上を歩いて、地面の傾きを足の裏で関知する方法です。人間の平衡感覚というのは意外と正確であり、ライン上を歩けば、地面がどちら向きに傾いているのか、結構把握できるものです。カップまでの距離を歩測する際に、ついでに足の裏で傾きも感じ取る事で、細かな傾きを把握すればよいという訳です。
他人のパットの転がりを見て参考にしろ!
もう一つの裏技は、他の同伴競技者のパットの転がりを参考にする事です。初心者の中には、他人のパットを見ないで、スマホやスコアカードを見ている、あるいはボーッと眺めているだけで、上手くいったら「ナイスタッチ!」と褒めるだけ・・・みたいな人がかなり多いです。
プロゴルファーや上級者の人は、絶対に他人のパットの転がりを凝視しています。どんな達人でも、ラインを100%正確に読む事は出来ませんが、他人のパットの転がり方は、グリーンの傾きを嘘偽りなく教えてくれる超重要な要素です。
ですから他人のパットを見逃すのは、せっかくタダで得られる重要情報を放棄して、自ら不利になっている勿体ない行為です。これから打つ人のラインの延長線上に立つのはマナー違反ですが、ボールを打った後なら問題ない訳です。他の人がストロークしたら、すぐに自分の見たいアングルに動いて、玉の転がり方を分析しましょう。
上記の技術を駆使してもまだラインが分からない、特にフックかスライスか判断できないという場合は、ヤマを張らずに真っ直ぐ打つのがベターです。フックと読んだけどスライスだった・・・と間違うと、方向が大きく狂うので3パットの危険性が高まります。しかし真っ直ぐ打てば、左右に大きくずれる可能性は無い訳です(読めないほど細かな傾斜な訳ですから)。
また、真っ直ぐ打って左右に曲がっても、それがスネークライン(フックとスライスの混在)でない限り、カップよりも低い位置に流れるので、次のパットは必ず上りのラインになるので、入りやすいです。「迷ったら真っ直ぐ打てば、大怪我にならない」と覚えておきましょう。
同様に、上りと思っていて下りだったとなれば大オーバーですし、逆だと大ショートですから、3パット以上のリスクが高まります。上り下りの判断がつかなければ「平坦の強さ」で打つのが、無難で大叩きを避けやすいです。
アマチュアゴルファーだと、5メートルを超える距離が入る確率は1割にも満たないですが、3パットの可能性は結構高いです。ロングパットはとにかく距離や方向を大きく間違わないようにすることが、スコアメイクで最も重要となります。一発で入れようなんて夢を見ず「2回で入れば上出来だ」と無難なプレーに徹するべきです。
芝目を読む裏技
余談ですが、グリーンの芝目を気にする人も居ますので、少し書いておきます。ゴルフ漫画では、芝目の影響がさも大きいように描かれたりしがちですが、実際には芝目というのは、順目でも逆目でも、ボールの転がりに大した影響は与えません。そのうえ、芝目を読むのはプロでも難しいので、アマチュアレベルでは全く考えなくてOKです。
ですが「どうしても気になる・・・」という人のために、芝目の読み方の裏技を書いておくと、それはカラー部分の芝を見る事です。グリーン上の芝生は概ね3〜4ミリ程度と極めて短く刈られているので、熟練者でないと中々判別できません。しかしカラーの部分はもっと長いので、芝目がどちらに向いているのか分かりやすいです。
芝目を知る方法として「配水管の位置」とか「日光の当たる方向」などという口コミもネットで広まっていますが、これらは絶対の法則とは言えないので注意です。
グリーンの傾斜(ライン)の正確な読み方まとめ
・グリーンに上がる前から、全体の傾きを見ておくべし!
・前後だけでなく、ラインの横からも見るべし!
・歩測時に足の裏で傾きを感じるべし!
・迷ったら平坦の距離感&真っ直ぐ打つと怪我が少ない
最後に、絶対にラインを読み間違わない方法を紹介しておきます。それはキャディー付きでプレーする事です。特にベテランのキャディさんは、そのコースを何百回と見てきているので、グリーンの傾きも熟知しています。キャディさんのアドバイスに従ってパットすれば、少なくともラインの読み違いはほぼ発生しないので、スコアは確実に良くなるはずです。