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ゴルフの傾斜(ボールと足下の関係)には、大きく分けて「つま先上がり(下がり)」と「左足上がり(下がり)」という4つの状況が存在し、時にはそれらが複合したライも出て来ます。
初心者の人は、いわゆる下がり系のライ(つま先下がりや左足下がり)が苦手という人が多いです。ですが上達するにつれ、下がり系のライはある程度打てるようになります。実はゴルフで最も難しい傾斜は、ダントツで「つま先上がり」であり、上級者でもザックリや引っかけOBなどの致命的なミスが起きやすいのです。何故つま先上がりが難しいのか?その物理的な理由と、ミスしない打ち方を説明してみます。
つま先上がりは、ボールの手前をダフリやすくなる、左へ引っかけやすくなる、という二つの大きな問題が物理的に発生しやすいのです。
まずダフる理由は、つま先上がりの傾斜角が上がるほど、スイングプレーンが水平に近くなるため、重力が邪魔をするからです。平らな場所だと、スイングプレーンが斜め下を向いているので、重力も加味された円軌道となりますが、水平に近くなるにつれ、クラブヘッドの重さがプレーンから外れ、手前に落ちようとするからです。
この現象は、練習場で「ヒザ立ち打ち」をすればよく理解できます。はじめてヒザ立ち打ちをした人は、ほとんど全員が壮絶にボールの手前をダフリます(笑)。水平に振ろうとしても、クラブヘッドが重さで垂れるからです。
加えて実際のつま先上がりでは、足下も不安定なのでバランスを崩しやすく、余計にダフリやすくなるのです。よって、つま先上がりのライでは、普段よりもボールを右足側にセットして、かつコンパクトに振る事が絶対条件なのです。
ボールに近い状況で素振りして、足元のバランスを崩さない振り幅や、どの程度手前をダフるのか、しっかり確認する事が絶対に必要です。
一般的には、角度が30度=ヒザの高さくらいのつま先上がりになれば、アマチュアゴルファーではまずまともに打てません。同じ距離でも番手を2つ以上上げて、クラブは短く持ち、アドレスは通常よりボール2個分くらいは右足側にセットして、コンパクトにミートする事だけに集中すべきです。すねの高さ(ヒザとの中間)である15〜20度の角度でも、1番手上げてスリークォーター(7〜8割くらい)の振り幅で打つのがベターです。
すねの高さ以上になると、通常のショットと考えず、フェアウェイバンカーなどと同じ「トラブルショット」だと思うべきです。150ヤード未満の距離でも、一発でグリーンに乗せようなんて思うのは欲張りすぎで、傾斜地から脱出してフェアウェイに戻せれば御の字です。
というのは、つま先上がりには左へ引っかけやすいという、もう一つの大きな問題があるからです。ゴルフクラブにはロフト角が付いていますが、つま先上がりになるほど、フェース面が左へ向くことがその原因です。
左へずれる度合いは、つま先上がりの角度が大きいほど酷くなっていきます。またショートアイアンやウェッジなど、短い(ロフト角の大きい)クラブほど、より左へ向きます。リーディングエッジが真っ直ぐでも、フェース面の向きが大きく左へズレるのです。
★関連ページ;ウェッジやショートアイアンで左へ引っかける原因
この事も、水平に近いヒザ立ち打ちをすれば一目瞭然で理解できます。ウェッジをティーアップしてヒザ立ち打ちすれば、芯で綺麗に打てても必ず左へフックします。フェース面が左へ傾いているのですから、物理的にフック回転するのは当たり前です。
そのため、勝手に左へ行く事を見越して、目標を大きく右へズラしてアドレスする必要があります。特に100ヤード以内の短いアプローチショットは、ロフト角の大きなAWやサンドウェッジを持つので、小さな振り幅でも確実に左へ飛んでいくので注意が必要です。
つま先上がりでミスしない打ち方
・つま先上がりは上級者でもダフる&引っかけが起きやすい
・これはつま先上がりというライが物理的にそうなりやすいから
・通常より右足寄りで構え、クラブを短く持ってコンパクトに振る
実際のゴルフ場には、打ちっ放し練習場と違って、平らな場所がほとんどありません。多くのアマチュアゴルファーは左足下がり・つま先下がりに苦手意識がありますが、本当に危険なのは上級者でも大叩きを誘発するつま先上がりです。打ちっ放しでも行えるつま先上がりの擬似的な練習方法として、高いティーアップで打つ、ヒザ立ち打ちする、などです。またボールを右足前にセットし、足首を限界まで曲げ、前傾姿勢を深めに取って振る方法もあります。